動物学者の丘浅次郎によれば、動物には共通する3つの原則があるといいます。 どんな動物もその原則から逃れることはできないといっています。 その三原則とは、食べること、産むこと、そして死ぬことだそうです。 食べない動物はなく、産まない動物もなくそして死なない動物もありません。 人間も動物ですから、この原則から逃れることはできません。人間は万物の霊長などといってみても、所詮は食って産んで死ぬのです。 そう考えてみると、お産は人間がこの世に存在して以来のごく自然な営みなのです。

人間という動物は進化してくる過程で、大きな大脳を持つようになり、ほかの動物に比べるとお産にかかる時間が長くなったといわれています。 大脳を活性化させるために、狭い産道をゆっくりこすられて出てくるようになったともいわれています。 ですから、お母さんや赤ちゃんに異常がない限りは、自然に陣痛がつくまで待って自然なお産をするのがよいのです。 自然なお産といっても、人間は群れをなす動物ですから一人でお産をするのは苦手なのです。誰かそばにいて助けてくれる人が必要です。 その手助けをしてくれる人が助産師さんです。そして、お産の時におうちの方が付いていてくれたらもっと安心できるでしょう。

自然に産むのが一番良いというものの、ただ放っておけば良いというものではありません。 日本は世界に先駆けて母子健康手帳というものを作り、優れた産科医達が努力をした結果、世界に誇れる周産期死亡の少ない国になりました。 こうした先人たちの英知を捨て去ってはいけません。妊娠初期から診察を受け、妊娠の経過に異常が無いことのチェックを受けてください。 そして安心して自然なお産をしていただきたいと思います。